Junos リリースサイクル 2023以降

ネットワーク

Junos および Junos Evolved のリリースサイクルが 2023 年から新しくなったので簡単にまとめておきます。対象となるのは Junos 23.2R1 以降のリリースです。なお Junos 23.1R1 についてはリリースされたプラットフォームもあったようですが、現在は取り下げられています。

公式のアナウンスは以下をご参照ください。(要ログイン)
https://supportportal.juniper.net/s/article/2023-JUNOS-Release-Model

主な変更点

  • 拡張EOL(EEOL: Extended End of Life)のサポート期間が60か月に変更
  • フィーチャーリリース(いわゆるR1)のリリース頻度が年2回に変更
  • メンテナンスリリース(いわゆるR2、R3)のリリースが1回に、つまりR2までに変更
  • サービスリリースのサイクルが変更(詳細は後半に記載)
Junos のバージョンについて

Junos のバージョン表記は次のようになっています。

基本的な表記は変わりませんが、今回の変更によりメンテナンスリリースが R2 までとなったため、R3 がなくなりました。また、メンテナンスリリースやサービスリリースが公開されるまでの期間も変更となっています。

新しいリリースモデル

フィーチャーリリース(R1) は年4回のリリースから6月と12月の年2回のリリースに変更されました。

メンテナンスリリース(R2) は2回のリリースだったものが、1回のみのリリースとなり、R1のリリースから5か月でのリリースに変更となります。

サービスリリースは最初の2つ(S1, S2) が8週間、16週間でリリースされます。R2-S2 のリリース後は

  • 1-3年目 : 約3か月ごとに SIRT/CL1/CL2 の修正
  • 4-5年目 : 約6か月ごとに SIRT/CL1 の修正

が行われるとアナウンスされています。

Junos 23.2R1 からの時期をまとめると以下のようになります。

なおリリース時期について、R1 は比較的ルール通り6月、12月にリリースされていますが、R2 や サービスリリースについてはかなり前後する場合があります。

EOL/EEOL について

Standard End of Life (EOL) は Junos 22.4 までの表記でいう 22.1, 22.3 などの奇数リリースにあたり、新しいリリースモデルでは一般提供されなくなりました。

Extended End of Life (EEOL) が 22.2, 22.4 などにおける36ヵ月サポートのバージョンだったもので、Junos 23.2 以降は60か月サポートの対象となります。

(画像は Junos24.2 リリースノート https://www.juniper.net/documentation/us/en/software/junos/release-notes/24.2/junos-release-notes-24.2r1/topics/upgrade-downgrade/mx-upgrade-downgrade.html より)

End of Engineering (EOE) はセキュリティパッチやバグフィックスが行われる期間を表します。
End of Support (EOS) は EOE から6か月間の期間で、問い合わせは可能ですが修正リリースは行われません。

注意点としてはこれらのサポート期間は R1 のリリースからの期間となるため、メンテナンスリリースやサービスリリースが出た段階で残りの期間があまり長くない場合があります。
各バージョンの具体的な EOE, EOS については以下リンクを参照ください。
Junos OS Dates & Milestones – Juniper Networks

バージョン選定について

選定の前提として、Junos のアップグレード、ダウングレードには2つのルールがあります。
1つ目は前後3リリースまでのサポートです。

  • 20.4 を使っていた場合
    • アップグレード可能 : 21.1, 21.2, 21.3
    • ダウングレード可能 : 20.3, 20.2, 20.1

2つ目は EEOL は前後2つの EEOL へのアップグレード、ダウングレードが許容されます。

  • 20.4 を使っていた場合
    • アップグレード可能 : 21.2, 21.4
    • ダウングレード可能 : 20.2, 19.4

このルール自体は変更されていませんが、EOL リリースがなくなったため、実質2つ目のルールに沿ったバージョン変更を行う必要があります。

  • 23.2 を使っている場合
    • アップグレード可能 : 23.4, 24.2 となります。

では新しいリリースサイクルではどのバージョンを選ぶべきかですが、基本的には推奨リリースが 23.2 以降に対応した段階で、そちらを第1候補に検討すべきです。 https://supportportal.juniper.net/s/article/Junos-Software-Versions-Suggested-Releases-to-Consider-and-Evaluate 

ただし、Suggested Release については、リリースからかなり期間が経過した(いわゆる枯れた)バージョンであり、残りのサポート期間などを考慮したバージョン選定をお勧めします。

Suggested Release を使わない場合の候補としては、基本的には R2 をお勧めします。また、サービスリリースが出ている場合は一番数字の大きい最新のものを利用するようにしましょう。

サポート期間は長くなりましたが、再起動など時間がかかるアップグレードを考えると R2 のリリースに合わせて年に1回程度はメジャーバージョンを上げていくのがよいかと思います。

そのほかの注意点は、基本的にリリースノートを熟読しましょう。
対応が必要な場合リリースノートに記載されますが、バージョンによっては Junos の OS である FreeBSD のカーネルが変更されることがあります。ルールの例外が発生する場合があるため注意が必要です。

よい Junos ライフを~

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